「……ああ、これ、多分吹奏楽部辞めたときにもらった手紙かも」

「へー。あ、この人イケメン」


すでに手紙からは興味をなくしたらしい米川さんは、そう言ってアルバムをペラペラとめくり始めた。各クラスの中で一番イケメンな人を探すそうだ。

私は渡された手紙を一つずつ手に取りながら、もっと素直にこの手紙を受け取っていればよかったな、なんて。


そう思ったときだった。


他のものが可愛いメモや便箋を使っているのに、その一つだけ、やけに雑に折られたものを見つけた。

触ってみると普通の紙にしては少し硬く、重みがある。

これは何なのだろうと首を傾げながら、ゆっくりと開いた。



刹那。




「……っこれ」



米川さんの話し声も、お母さんが階段を上ってくる音も、窓の外の雨の音も、全部消えた。



頭の中が真っ白になって、息が出来ない。


どうして、これを、私は持っているの。