クールな一匹狼だと思っていた米川さんがそんなふうに笑うのが予想外すぎて、私は思わず固まってしまう。

そんな私を見て、さらに米川さんは楽しそうに笑うから、話したいことの半分も話せていないのに、何だか満足したような気になってしまった。


「はーおもしろっ! あたしね、こんな見た目してるけど、中身は普通の女子高生だから。なんか噂だけ一人歩きしてて、もうそれ否定するのも鬱陶しいからそのままにしてるんだけど」


あたし隣町のレディースの総長ってことになってるらしいよ、と他人事のように笑う。


「それはなかなかのインパクトだね……?」

「でしょ。超ウケる」


確かにその噂は私もどこかで聞いたことがあるものだった。

本人がこうやって笑っているということは、真実ではないのだろうけれど、言われてみればそんな風貌をしているしみんなが信じるのも頷ける。


「でも、そうじゃないなら、どうして髪の毛そんなに明るいの?」

「あーっとね、ジャズしてるから。あたしたちのバンドなかなか上手いって評判で、色んなところでライブさせてもらってるんだけど」


要約すると、この前のカフェみたいなところだったり、ライブハウスだったり、日によってはバーでライブをすることもあるのだとか。