真正面に座っていた日向先輩は、マグカップに残っていたココアを一気に煽るように飲み、ふうと息を吐いて立ち上がる。
「よし、じゃあそろそろ行くわ!」
「……そうしてください」
思い出すのは五月の初め。
あの掲示板の前で日向先輩に見つけてもらえていなかったら、きっと私は今よりもっと卑屈で臆病で、俯いてばかりいたのだろう。
その明るい笑顔と、元気いっぱいに取り組む姿は、いつだってこの洗濯部を照らしてくれる太陽みたいだった。
たくさん助けてもらった。たくさん教えてもらった。
その大きな背中で、いつも引っ張ってくれたから。
「お前らも、さっさとそこから出てこいよ!」
じゃあな、とドアを開けた日向先輩の後ろ姿はやっぱり頼もしくて。
私はその背中を追いかけたいと思ったんだ。