「俺が出て行ったからって、二人とも洗濯物回収するのさぼるんじゃないぞ。あ、洗剤が多分もうすぐ無くなるから新しいの買っといてな」

「はい」

「汚れがひどいやつは先に揉み洗いしてから洗濯機に入れて、あと、洗濯板もその辺にあるから必要だったら使って」

「大丈夫です、分かってます」

「俺が陸上部戻ったら何かしら洗濯物出すようにするから、ちゃんと回収しに来いよ」

「それは別にいいです」


なんでだよ、と言いながらも日向先輩は楽しそうに笑っている。

私は真央くんに淹れてもらったココアを一口飲んで、その甘さにほっと肩の力を抜いた。


こんなことを言ったら笑われるかな。

私、日向先輩が走り出した姿が、とても格好よく思えたんです。

まるで羽が生えてるみたいに軽やかで、思わず見とれてしまったんです。

自分と似たような日向先輩が走り出したことに、すごく勇気をもらったんです。


「……元気でいてください」