「どうだ、見たか」
その得意げな笑顔に、すげーなお前、と言葉を返すと何故か村瀬は照れたように頭を掻いた。
そして村瀬は咳払いをひとつして、日向と向かい合うように立つ。
コンクリートとスパイクのピンが当たって、カツンと音が響いた。
「月曜から、練習な」
「……は?」
「は?」
素っ頓狂な声を出すと、同じような声が低いトーンで返ってくる。
何のためにお前呼んだと思ってんだよ、と呟いた村瀬。その意味が分からず、……いや、本当は分かっているけれど、その口から聞いてみたくて首を傾げた。
そんな日向を疎ましそうに見て、それから村瀬は吐き捨てるようにこう言った。
「一緒に走るんだろ」
俺たちと、また。
その言葉が嬉しくて目頭が熱くなった。
でも泣いてしまうのは格好悪いから、照れくさそうにそっぽを向いた村瀬に、お前は本当に俺のこと好きだな、と追い打ちをかけて笑ったのだった。