「行ってきます」
小さく呟いて、家のドアを開けた。外に出ると午後二時の日差しが容赦なく突き刺さる。
六月にしては今日は暑いらしい。少しげんなりしながら一歩を踏み出した。
そのときだった。
「待ってました……っ!」
「え」
急にぐっと引かれた腕。
聞き覚えのあるその声に驚いて瞬きをすれば、そこに立っていたのは私服姿の後輩が二人。
なんで、とか。
どうして、とか。
そう思う前に自分の両腕は拘束された。
「真央くん、そっちの腕しっかり持っててね。離さないでね」
「え、な、え」
「いつまで経っても日向先輩が来ないので、家の前でちょっと待たせてもらいましたっ」