「洗濯部の活動をがむしゃらに頑張っても、忘れられるわけがないです!」
「……っ」
「優勝できるくらい本気でやってたこと、本気で好きだったこと、忘れら、られ、忘れられるわけ……ないです……」
か、噛んだ……!
なんでここで噛むんだ私……!
こんなに捲し立てて話すことが久しぶりで、舌が回らなくなった。勢いを失った私は水を与えられなかった花のように萎れていく。そんな私を、隣の真央くんは呆れたように見ていた。
日向先輩は気の抜けたように息を吐き、そのままリュックを背負って出て行こうとする。
「日向先輩!」
咄嗟にその背中に声をかけた。ドアに手をかけた日向先輩は、ぴたりと動きを止める。
「土曜日、待ってます。日向先輩のこと待ってます」
みんな、待ってますから。
私は必死に言葉を紡いだ。日向先輩は振り向かず、そのままドアを開けて出て行った。
オレンジ色に染まる部室で、隣にいた真央くんがそっと私の肩に手を乗せる。
机の上には日向先輩の作りかけていたてるてる坊主が残っていた。
日向先輩の心にちゃんと届いたかどうか分からない。
でもきっと、日向先輩は来てくれるんじゃないかって、私は思ったんだ。