「私、自信を持ってしまったら、この前日向先輩に言ったような、考えなしのひどいこと言うかもしれない」
(自分の気持ちを伝えるのは別に悪いことではない)
「……うん、そっか。そうだね、今度改めて米川さんとちゃんと話してみる」
それから。
「日向先輩のこと、誘えるかな。一緒に土曜日来てくださいって、言えるかな」
ぽつりと漏らした不安を消すように、オムライスを口に入れた。
卵とケチャップとご飯が絶妙に混ざったそれを、ゆっくりと飲みこむ。
(大丈夫)
他の文字に比べて大きく書かれたその三文字。
(俺もいる)
真央くんの声は、どんな色を持っているんだろう。
私はこのときはじめて、真央くんの声を聞いてみたいと思った。