「さて、じゃあ全員揃ったことだし、改めて自己紹介でもするか」
気づけば私の真正面に座って、オレンジジュース片手にそう言った男子生徒。
私の隣で美人さんが頷くのを横目に、私もゆっくりと頷いた。
「俺がこの洗濯部部長の三浦日向(みうらひなた)。好きな食べ物はラーメンと焼き肉と唐揚げ!」
目尻にきゅっと皺を寄せて、よろしく、と真正面で笑ったのは昨日掲示板の前で声をかけてきた男子生徒。襟元についている校章は赤。二年生の色だ。
髪は短くすっきりとしていて、いかにも良い人オーラが出ている。私が今日ここに来ようと思ったのも、この日向先輩の良い人オーラに当てられたからだった。
「で、こちらが木村紫苑(きむらしおん)先輩」
「よろしくね」
「ちなみに悩みは貧乳で体毛が濃いこと」
「日向、顔面潰されたいの?」
「……見ての通り美人です」
日向先輩に訂正させて、ふふっと満足気に笑ったのが紫苑先輩。襟元についている校章は緑。三年生の色だった。
よろしくお願いします、と控えめに頭を下げた私に紫苑先輩は笑みを深めた。艶のある黒髪が揺れてふんわりといい匂いがする。確かに胸は小さ……いや、この話題はやめておこう。