半ば強引に話を終わらせた私を笑いながら、日向先輩はまたリュックの中を確認している。
部室の一箇所に集めたごみをちりとりで拾って、そのままごみ箱へと入れた。よく見ると、ごみ箱周辺には砂や紙くずなどが落ちていた。
「わ、この辺も汚いです……ね……?」
ごみ箱を退けて、そこを掃こうとしたときだった。
ひらり、二枚の紙が床の上を舞うように転がった。
一つは折り目がたくさんついている進路希望調査の紙。名前の欄に大きく三浦日向と書かれたそれは、まぎれもなく私たちが探していたものだった。
「どうした葵! ってこれ、見つけてくれたのか!」
「あ」
「恩に着る! お前は本当に洗濯部期待のルーキーだな! ……って、それ」
固まっていた私の背後から、日向先輩は潰れた紙飛行機を奪い去っていく。
私がもう片方の手に持っているものを、見てもいいものなのか、見られてもいいものなのかと葛藤しているうちに行われたその動作は俊敏で、隠すこともできずその存在に気づかれてしまった。