外はしとしとと雨が降っている。ベランダに設置されてある洗濯機はカバーに覆われながら、今日もぐおんぐおんと低い音を立てていた。
六月に入って、空気はじっとりと湿気を帯びた。まだ少し肌寒い日もあるけれど、もうカーディガンはいらないだろう。
「もう梅雨だな」
「梅雨入りはまだみたいですけどね」
「雨の日増えるとテンション下がるな!」
口より手を動かしてください、見つからなくて困るの先輩でしょ。
窓の外に目をやる日向先輩をそう咎めて、私はホウキを持ったついでに床を掃いてみる。
「雨、私はそんなに嫌いじゃないです」
授業に出ていない真央くんが定期的に掃除をしてくれているらしく、床はそこまで汚くない。
ぽつりと呟くように声を落とすと、日向先輩と真央くん、二人の不思議そうな視線がこちらへ向いた。
「なんで?」
「え、っと、大した理由ではないんですけど」
確かに雨の日は空気も少し重たくなるし、空の色も綺麗とは言い難い。傘を差さなければいけなかったり、雨が靴に浸透してきたり、色々と煩わしさもあるけれど。