まだ空っぽの洗濯かごを抱えながら、二人の言い合う様子を眺める。
真央くんはむわっと暑いグラウンドが嫌なのか、隙あらば部室に戻ろうとする。それを阻止すべくシャツの袖を掴むと、真央くんは諦めたように隣に立った。
「あ、言い忘れてたけど俺、部長になったから」
「村瀬が?」
「うん。陸上部は特に洗ってもらうものないけど、まあよろしく」
村瀬さんは爽やかな笑顔を浮かべて、日向先輩の肩を叩く。おう、と日向先輩も笑顔を返していた。
その笑顔に、村瀬さんは何か言いたげな表情を見せる。
「あのさ……」
「行かなくていいのか?」
何か言いかけた村瀬さんにかぶせるようにして、日向先輩が問いかけた。三年生が引退して少し人数が減った陸上部。その集団を指差して、もうみんな体操してんぞ、と笑う。
「部長ってのは、みんなを引っ張ってこそ部長だと俺は思うわけだ!」
「あー……」