本心で言ってくれているのかどうかは分からない。分からないけれど、紫苑先輩が同情だけでこんなことを言うとは思えなかった。


「じゃあ、そろそろ私行くわね。古賀ちゃんにもよろしく言っといて」

「了解。もうここ来れないんだから、忘れ物すんなよ!」

「多分大丈夫だと思うわ。あ、真央くん、今度からお茶係頼んだわよ」

「最後にこれだけ言っとくけどさ、やっぱ見た目と口調のギャップがすげーわ」

「あらやだ」


努力するわ、と紫苑先輩が笑う。きゅっと唇を噛んだまま、私は動けなかった。

伝えたい言葉があるはずなのに、出てこない。それがすごくもどかしく、しかし焦れば焦るほど、口を開くことが難しかった。


紫苑先輩はマグカップに残っていたハーブティーを飲み干して立ち上がる。


「そしたら、……みんな元気で」


ひらり、手を振った紫苑先輩に、日向先輩が手を振り返す。