受験勉強ももちろん理由の一つだろう。
でもきっと洗濯部を退部する一番の理由は、もうここにいる必要がなくなったからだ。
“死にかけ”だった紫苑先輩は決めたんだ。
――生きていくことを。
「私は一年の五月に洗濯部へ入部してから、色んな人との出会いと別れを繰り返したわ」
まるっと二年間。その年月に想いを馳せるように紫苑先輩は目を閉じる。
「それぞれ何かを抱えていたはずのみんなが、最後にはとびっきりの笑顔を見せて去って行くの。それが私はすごく嬉しくて、……ちょっと寂しかったわ」
私にもいつか、こんな日が来るのだろうか。
こんなふうに誰かに想いを語る日が、何かを伝える日が、来るのだろうか。
ひなた、と紫苑先輩が名前を呼ぶ。何すか、と返事をしながら日向先輩は目尻に皺を寄せる。