「わ、私なんてそんな、可愛くないし素直じゃないし口も悪いし! 全然そんなんじゃないんです!」

「……え?」

「みんなの足を引っ張るし、肝心なところでちゃんとできないし、ほんと、いる意味ないんです。存在する意味な」


ないから、と言おうとしたときだった。


バンッと大きな音が、遮るように教室に響いた。


ハッとして顔を上げると、そこには机を両手で叩いた真央くんの姿があった。色素の薄い瞳が、激しい怒りを携えて私を射抜くように見ている。


その真央くんの瞳を見て、私は急に後悔の念に襲われた。

一度動き出すと止まらない私の口は、初対面の人だろうと関係なく動く。隣の美人さんからの戸惑ったような視線が痛い。

真央くんがどうして怒っているのかは分からない。でもきっと、せっかく美人さんが構ってくれているというのに、それを台無しにするようなことを私が口走ったからだろう。




「ご、ごめ、なさ……」


ぼそり、謝罪の言葉を落とそうとしたときだった。




「みんなやっほー! ……って、あれ、何この雰囲気」




この場にそぐわない、明るい声が聞こえた。