こんなとき、日向先輩や真央くんならどうするんだろう。

あの二人なら、どうやって切り抜けるんだろう。


ここにはいない二人に想いを馳せて、縋ろうとしたときだった。




「……知ってたよ」



ぽつりと落ちた桜さんの声。知ってた、ともう一度繰り返されたその言葉。

目尻を下げて困ったように笑った桜さんに、目を見開いた。



「紫苑は、嘘を吐くのが下手だから」


カタン、と。

部屋の外で何かが落ちる音がした。


まさか、と思って振り向けば。




「……紫苑」



コントローラーが廊下に転がっていた。