「わ、シュークリーム! わざわざいいのに~」


数日ぶりに会った桜さんは、ありがとう、と笑顔を浮かべた。


「早速お茶淹れるね。紅茶かコーヒーか、あ、りんごジュースもあるよ! どれがいい?」

「私はコーヒー」

「あ、えっと、私は……」

「葵ちゃんはジュースかな? ちょっと待っててね」


パタパタと奥の部屋へ駆けていく後ろ姿を見ながら、どうして分かったんだろう、と思う。紅茶もコーヒーも飲めないって話したことはないような気がするのだけれど。


「私ってそんなに分かりやすいですか?」

「え~? んふふ、そうねえ」


曖昧に笑う紫苑先輩は、また迷いなく桜さんの部屋へと入っていく。私もその後に続いて、前と同じくラグの上に座った。

そういえばさっきの桜さんの聞き方、紫苑先輩がいつも部室でお茶を淹れてくれるときの聞き方に似ていたな、とぼんやり考える。やっぱりずっと一緒に育ってきたからだろうか。そう思えば、二人の纏う空気はどことなく似ているような気がした。