だから、そういうときは。
「嫌な感情は全部洗ってしまえばいい。綺麗に干して、アイロンをかけて、またシャンと立って歩けるように」
どや。
そんな効果音がつきそうな顔をした日向先輩。
そのあと流れた十数秒の沈黙の重さを、私はきっと忘れないだろう。
「……いや、なんか反応して! お願いだから!」
「はあ、あの、なんというか、急にポエミーですね」
「厨二っぽいとか言うのやめて!」
「誰もそこまで言ってませんよ……」
つまり、今のちょっと明るくなった私は、すすぎの段階だということか。脱水して干してアイロンかけることまで考えたら、まだ結構序盤なのでは、と思うけれどまあちょっとは前進しているみたいだ。
それは、洗濯部の部員と関わっているときだけの話かもしれないけれど、何の変化もないよりはマシだろう。