「いらっしゃい、紫苑!」



満面の笑みで飛び出してきたのは、女の人だった。くせ毛なのかパーマを当てているのか分からないけれど、ボブよりちょっと長いくらいの髪はふわふわと柔らかそうだ。

白いブラウスと膝下丈の花柄スカートが、とてもよく似合っている。ぽってりとした唇と小さな鼻が、何とも言えない可愛らしさを引き出していた。


「桜、誰だかちゃんと確認してから出てきなさいよ」

「ちゃんとモニター見たよ? 今日も可愛いね紫苑!」

「あんたのほうが可愛いわよ」


呆れたように溜め息を吐きながら紫苑先輩は言う。その言葉に、嬉しそうに笑った女の人。二人のやりとりを呆気にとられて眺めていると、不意に女の人と目が合った。


「あら!」


ぱあっと表情を輝かせてにっこりと微笑む女の人に、私も慌てて頭を下げる。


「こ、こんにちは!」

「こんにちは~! ……はじめまして、で合ってるかな?」