そんな二人を見ながら、何も言えずただ見ているだけしかできなかった役立たずな自分に、こっそり溜め息を吐く。
でも、これで良かったのだ、とも思う。
変に口を挟んだら、空気を悪化させていた可能性だってあった。今の私にできる最大限のことは、見ていることだった。自分の力量に見合う働きをしたのだ、きっとこれで良かったのだ。
「……あ」
そう自分に言い聞かせていたとき、頭にぽつり、当たった水滴。
冷たさを感じた部分を手で押さえると、今度は手の甲に水滴。
あら、と紫苑先輩も空を見上げる。
「雨降ってきました、……ね!?」
言葉にした次の瞬間。
ザアアアアアアア、と勢いよく降り始めた雨。嘘だろおい、と天を仰いでいれば、日向先輩が私の腕から洗濯かごを奪い去って走り出した。
「撤退だ撤退! 部室に撤退!」
すでにグラウンドはドット柄になっていて、それもすぐに濃い茶色の無地へと変わっていく。
あっという間にできていく水溜まり。