どうして私に聞くんだろう、と不思議に思って村瀬さんを見る。
「ん?」
が、私の視線に気づいて小首を傾げた村瀬さんの破壊力が半端なくて、私は俯くことしかできなかった。
そもそも体育会系の人と関わったこと自体が少ない私にとって、村瀬さんみたいな太陽が似合う爽やかイケメンの笑顔は刺激が強すぎるのだ。
「え、えっと、……あの、とりあえず、そんな感じです……」
そう言って、すごすごと真央くんの後ろに引っ込む。真央くんは怪訝そうに見下ろしてきたけれど、どうか目を瞑っていただけるとありがたい。
「そんな感じか。なるほどな」
納得したように呟いて、サンキュ、と笑顔を見せた村瀬さん。私は真央くんの背中に半分隠れながら、いえ、と蚊の鳴くような声で返事をするのがやっとだった。
「ね~、そろそろ次の部活行かないと雨降ってきそうじゃない?」
「確かに! って、いやいや、止まったの紫苑先輩のせいじゃないすか! お願いだからちゃんとついてきて!」
「そうやって人の所為にするのよくないわよ~」
「いやこれは紫苑先輩が……って、あれ、村瀬?」