口へ運ぼうとしていたチキンナゲットを持つ手が止まる。


「何やってるんだろう、あたし……」


消えることを知らないトラウマに縛られるあまり、スミレに必要以上に固執して。疲れるくらいこだわって。


スミレ1人がそばにいてくれればあたしにとって充分で。
三人組なんてうまくいかないことを知ってるから、居心地の良いその場所を奪われたくないから、あとからやってきた芹香を邪険にして。


我ながら馬鹿だなと自覚はしている。
だからこそ、そっとしておいてほしい。


馬鹿だとわかっていながらも、あたしにはこうすることしかできないから。


もう、あんな思いはしたくない。


彩芽だって、蘭がやってきたせいで変わってしまったんだから。それまでは、あたしと彩芽で2人仲良しでいられたんだから。


きっと、スミレだってそうなんだから。
いくら高校で初めてできた友達があたしだったとしても、芹香という新しい友達ができてしまえば、あたしのことなんて簡単に切り捨てるに違いない。