芹香は、あたしの手を引きスミレの席へと戻らせる。
「芹香っ、ちょっと……」
「まあまあ。皆で仲良くやりましょーよ」
芹香はニコニコとしながらそう言って、あたしをスミレの席まで連れて行かせた。
「それじゃ、ここの問3からよろしくお願いします、スミレ先生!」
芹香とあたしでスミレの席を取り囲むと、芹香は戸惑うスミレにビシッと敬礼をひとつ。
しばらく、あたしと芹香を交互に見ておろおろとしていたスミレだったけど、芹香のおどけた様子に次第に笑顔になっていく。
「ふふっ、わかりました!よーく聞いておいてくださいね?」
「了解です!」
先生と生徒みたいなやり取りを繰り広げるスミレと芹香。
何とも言えない重苦しかった空気が、明るく和やかなものへと変わる。
悔しいけど、それはまぎれもなく芹香のおかげで。