蘭にいくら仲間はずれにされようとも、独りぼっちになろうとも大丈夫。


彩芽とは、心で繋がっているから。


そう思っていたあたしが、彩芽を……“友達”を信じられなくなった決定的な事件があったのは、確か中学の卒業式の前日だった。


卒業式の予行練習をする為に体育館に行き、それが終わって教室に戻ろうとしていた時。


流されそうになる人混みの中、あたしは無意識に彩芽の姿を探す。


一瞬目が合って、嬉しそうにこっちに手を振り返した彩芽。


“一緒に戻ろう”


口パクだったからよくわからないけど、そう言ってくれているみたいだった。


だけど、あたしが彩芽と合流するよりも早く蘭が来て、彩芽を連れていってしまった。


ああ、またか。


どうして蘭がそこまであたしと彩芽を離れさせたがるのかよくわからないけど。


少し呆れつつ、結局独りで教室に戻った時だった。