「さあ!思いっきり消しちゃってくださいな!」
あたしがもじもじしていると、芹香がケーキのロウソクを指さしながら促す。
あたしは頷くと、大きく息を吸って、勢い良く吐き出した。
ロウソクは綺麗に全部消え、また周りから拍手のお祝いが降ってくる。
にこやかな店員さんや、付き合ってくれたお客さん達に遠慮がちに頭を下げてお礼を言い、そして、目の前の二人にも。
「ありがとう……。スミレ、芹香」
大成功とでも言いたげな様子で、嬉しそうな笑顔を浮かべるスミレと芹香。
あたしも微笑みながら、さっきのプリクラのうち、とある1枚を二人に見せた。
それを見た瞬間、あたしが言いたいことがわかったみたいで、スミレは涙を浮かべ、芹香は穏やかに頬を緩ませる。
プリクラには、さっきあたしが落書きした“大好き”の文字。
恥ずかしくて口では言えないけど、こんなふうに思える友達にあたしは出会えたんだってことを、二人に伝えたかったんだ……。
「じゃあ、食べよっか」
「うん……!」
あたしの言葉に、涙を拭うスミレ。
「いっただっきまーす!」
「あ!芹香ちゃん、なずなちゃんが先だよ!」
我先にとケーキにかぶりつこうとした芹香をスミレが止める。
思わず声をあげて笑うと、釣られるように二人も大きな声で笑った。