聞き返されると思わなくて返答に困ったのか、それともあたしの雰囲気が怖かったのか。


スミレが困ったように口ごもり、視線をさまよわせる。


でも、仕方ないじゃん。
だって、あたしは八潮さんのことなんてどうでもいいんだもん。
ただ、クラスメイトが1人増えたというだけ。


むしろ、仲良くなんてなりたくない。


あたしとスミレの間を邪魔してほしくない。


あたしにはスミレがいればそれで充分なんだから。


「でも……」


――キーンコーンカーンコーン。


スミレがまだ何か言おうとした時、それを遮るかのような絶妙なタイミングで、始業を知らせるチャイムが鳴り響いた。


「あ、次の授業移動教室じゃん!早く行くよ、スミレ!」


「え、あ、うん……」