自己紹介という名目のホームルームが終わり、休み時間。
高校生にもなって、みんな好奇心むき出しで八潮さんを取り囲んで質問を浴びせている。
八潮さんは、次々と質問が繰り出される中でも、嫌な顔一つせず丁寧に答えていた。
「なずなちゃんっ」
大変そうだなーなんて思いながら、あたしがその様子を横目で見ていると、スミレが駆け寄ってきた。
「どうしたの?スミレ」
「あの、あの、私達も、八潮さんとお話してみない?」
は……?
ぴくりとあたしのこめかみがかすかに動く。
「……何で?」
無表情で聞き返した。
理由がわからない。必要性が感じられない。
スミレがそんなにもワクワクしてる様子なのも理解できない。
「何でって……えっと……」