「あたしはスミレを診てるから、芹香は何か冷たい飲み物買ってきて」
悔しいとか腹が立つとか、そんなんじゃなくて。
あの写真に写っていた自分が、虚しく見えて、惨めに思えて仕方がない。
だから、上手いこと言って、早く邪魔な芹香を追い払いたかった。
「了解!」と言って軽快に自動販売機へ駆けていった芹香を見送ると、あたしはベンチにスミレを横たわらせる。
「大丈夫、スミレ?」
「う、うん……。酔ったわけじゃないんだけど、ちょっとびっくりしちゃって……」
大丈夫じゃないことは見てわかってるけど、つい同じ質問をしてしまう。
すると、つらいはずなのにスミレはやっぱり努めて笑顔を浮かべようとする。別に、そんなことする必要ないのに。
「あたしの思い込みかもしれないけど、スミレって絶叫系苦手?」
「あはは……実はあんまり得意じゃないかな……」
「やっぱり……。じゃあ、何で乗ったの?言ってくれたらやめたのに」
「うん……そうなんだけど……」