さっきのグーとパーで分けていたのは何なのかというと、このジェットコースターに乗る座席を決めていたのだ。
このジェットコースターの座席は2列ずつになっているので、あたし達みたいな3人グループは、内の1人は分かれて座らなければいけなかった。
それを誰にするか公平に決めていたのだけど、見事にあたしが1人になったというわけ。
スタッフの人が気を利かせてくれて、隣に知らない人が座ることはなかったからそれは幸いだったけど。
こういうふうに遊園地のアトラクションって、2列で座るものとか二人組用の乗り物がすごく多いような気がする。
奇数グループには生きづらい世界だ。
「なずなちゃん、次は私が1人になるからね」
前にいるスミレが振り返り、シートの隙間からあたしのほうを見て申し訳なさそうに言った。
そんなこと言って、芹香に「一緒に乗ろう」って誘われたら絶対ホイホイついていくくせに。
「……別にいいよ」
セーフティバーを握りしめ、あたしはスミレの視線から逃れるように顔を背けた。
ワクワクしながら芹香と楽しそうに話すスミレを見たあとでは、そんな言葉は社交辞令みたいなものにしか聞こえなかった。