でも、今のままなら、あたしのほうが確実に負けてしまう。
スミレは芹香からあたしの悪口を聞いているはずだから、分が悪いのは絶対にあたしのほう。


だからといって、黙って取られるのを待っているなんてできない。
もう二度と、独りぼっちになんてなりたくない。


どうしたら……どうしたら……。


「それでね、芹香ちゃんがね」


「スミレ」


体育の時の、“芹香ちゃんのすごかったエピソード”を延々と話していたスミレ。


そのスミレの言葉を遮って、あたしは行動に出ることを決めた。



芹香があたしの悪口を言っているのなら、あたしも芹香の悪口を言ってやろう。



スミレに、あることないこと吹き込んで、芹香に対して不信感を抱かせてやる。
そうすれば、少なくともあたしの悪口言っている芹香を、100%信じることなんてできないだろう。


“あたし、何もしてないのに芹香に悪口言われてるみたいで、すごくつらい”


とでも言っておけば、優しいスミレならあたしのことを気にかけてくれるはず。