「じゃあ、また明日ね!」
放課後。
一人だけ帰る方向の違う芹香と別れ、あたしはやっとスミレと二人きりになった。
1日の中で、唯一心が落ち着ける時間。
スミレが、芹香からあたしの悪口を聞いてあたしのことをどう思ってるかはわからないけど、
「帰ろっか、なずなちゃん」
と言いながら、スミレが微笑んでくれたからあまり考えないようにしている。
それにあたしにとっては、何度も言うようだけど、スミレにあたしが独りにならないようにただ隣にいてくれたら、それでいいだけだから。
いつもみたいに、夜にやるドラマの話とか、真面目なスミレは勉強の話とかをしながら帰るのだろう。
そう思っていたけど、今日は違った。
「今日の体育のバドミントン、すっごく楽しかったね!」
運動の苦手なスミレが、こんなにキラキラした目で体育の話をするなんて。
今までそんなこと、一度もなかったのに。