何と言って返せばいいのかわからず、困り果てたあたしは黙り込んで俯く。
そんなあたしに構うことなく、彼は相当気になるのかさらに問い詰めてきた。
『あんた、一中の人でしょ?何で、こんな遠くの学校を選んだの?』
確かに、あたしの通う第一中学校からここの高校は、電車で何駅も越えなきゃいけないぐらい結構離れていて、普通に考えると遠くて面倒だと思われそう。
だけど、それでもあたしがここを選んだのには……。
『一から友達を作りたいと思ったから!』
当たり障りのなさそうな言葉を選んで、でも嘘はついてない。
あまり空気が重たくなると、中学で何かあったんだと悟られてしまうから、あたしはこの時笑顔で答えた。
それに、彩芽と蘭と離れ、高校になって新しい友達を作った自分を想像すると、楽しくて仕方がなかった。