何も話さず、ただジッと過ごした19分。


胸が締め付けられて、苦しくて、呼吸が荒くなっているのを気付かれないように必死に我慢して。


19時19分を過ぎても、私達は離れずにいた。


もっとこのままでいられれば良いのにと思っていた時。








バン!


バンバン!


不意に聞こえたその音に、私と南部君は驚いて離れ、辺りを見回した。


すると……。









窓ガラスにベッタリと張り付いた人が、部屋の中にいる私達を睨んでいたのだ。


「きゃああっ!!」


私は思わず声を上げたけど、南部君はビクッと身体を震わせただけですぐに立ち上がり、窓へと近付いたのだ。


「先輩、玄関から入って来てくださいよ」


錠を解除し、窓を開けた南部君が溜め息混じりにそう呟いた。





え?先輩って……向井さん?


何だって二階の窓から。


「潤……お前は、俺の菜々と一体何をしていた!!嫌がる菜々を無理矢理抱き締めていたように見えたぞ!!」


「何って、森川さんの様子がおかしいから、行かないようにしてただけですけど」


ボリボリと頭を掻きながら、窓の向こうにいる向井さんに答える。


何か変だけど、二人にとってはこれが普通なのかなと思うしかなかった。