小さなテーブルの隣に腰を下ろして、部屋の中を見回してみる。


黒とシルバーの家具でまとめられた部屋は、いかにも男の子といった感じだ。


「どう?まだ二回目の事を考えてるの?」


私の隣で、ベッドに腰掛けている南部君が、顔を覗き込むように身を乗り出す。


「い、今は……南部君の部屋が気になってるかな。男の子の部屋なんて初めてだし」


とは言え、完全に考えていないわけじゃない。


この事でさえ、幽霊に話すネタが出来たと思ってるくらいだから。


私には、これと言った話がない事が問題なんだよね。


幽霊に、何人いるとか聞かなきゃならないくらいだから。


あの時感じた恐怖はきっと、幽霊の声を聞いてしまったから。


返事をする暇を与えないくらいに話し続ければ、怖さもなくなるかもしれない。


「ふ、ふーん。森川さんは人気があるんだよ?明るいし、優しいし……か、か、可愛いから」


えっ!?そうなの!?


何かそんな風に見られてたなんて、照れちゃうな。


……って、私よりも、そう言った南部君の方が顔を真っ赤にして照れてる!!


何で!?


「そ、そんな話、聞いた事ないけどな……あ、でも向井さんは普通に言ってるか」


冗談で言ってるようにも見えるけどね。