医師か看護師か……無愛想な声は、確実に私を拒絶していたけど、それでも分かった事はある。


病院のロビーに移動した私達は椅子に座って、その事を話していた。


「昨日の夜から安定してるって事は、山中さんは元に戻ったんじゃないかな?ドロドロのままで安心しろなんて言わないと思うし」


「だったらどうして会わせてくれないんだろ。集中治療室からも出れば良いのに」


「さすがにあんな状態じゃあ……原因も分からないし、感染しないと分かれば、いずれ出られると思うけど」


ああ、なるほどね。


本当にそうなのかは分からないけど、何か納得出来るよ。


「そうだと良いんだけどね。結局彩乃と話は出来なかったな」


「仕方ないよ。森川さんはさ、山中さんと話が出来るまで、二回目をしないようにしないと」


それが一番大きな問題だよ。


南部君が協力してくれるって言ってくれたから、大丈夫だとは思うけど。


「じゃあ行こうか。ここにいても、山中さんに会えるわけじゃないから」


腰を上げ、立ち上がって大きく伸びをした南部君が、振り返って私を見た。


行くって……どこに行くの?


19時19分を過ぎるまで、どこかで時間潰しするならここでも良いんだけど。


どこにいても同じなら。