集中治療室の前。


そうプレートが掲げられてはいるけど、ドアとインターホンがあるだけの部屋。


入り口には「ご家族の方以外の入室はお断りしています」という看板がある。


「やっぱり入れないよね。ここで待つの?」


「それよりも、インターホンがあるんだから聞いてみようよ」


彩乃が元に戻っていて、話が出来る状態だったら、今の私の気持ちが分かるかもしれない。


こんな気持ちに彩乃もなってしまったのか。


誘惑に負けて、二回目のおまじないをやろうと思ってしまったのかと。


それを聞いて、何が変わるってわけでもなさそうだけど。





ピンポーン。





インターホンのスイッチを押すと、中から女の人の声。


『はい』


「あ、あの……山中彩乃の事で聞きたい事があるんですけど」


『……ご家族の方ですか?』


「同級生なんですけど」


『あー……何を聞きたいんですか?』


やっぱり、家族じゃないとダメなのかな?


明らかに面倒臭そうに対応しているのが分かる。


「彩乃さんは大丈夫ですか?死にそうだって聞いたんですけど」


聞いた……と言うよりは見たんだけど。


『詳しい事は話せません。だけど、昨日の夜から安定してるから安心してください』