ごめんね。


南部君の事を、毎日電話を掛けてくる、ちょっと変わった人くらいにしか思ってなかったよ。


こんなに頼りになって、心強く感じるなんて。


ちょっと……格好良いかな。


「ありがとう。それで、具体的にはどうやって止めてくれるの?もしかして、毎日学校で待つの?」


昨日は何時から待っていたのか分からないけど、19時にはもういたからなぁ。


毎日30分近く待つとなると、凄く負担が掛かると思うんだけど。


「うーん、そうだなあ。じゃ、じゃあさ、毎日19時19分まで一緒にいるとか……ダメかな?」


「やっぱりそれしかないよね。でも、お母さんが何て言うかなぁ……あ、そうだ!向井さんに勉強を教えてもらうって事にすれば良いんだよ!」


少し照れたような表情を浮かべていた南部君の顔が、急にガッカリしたようなものに変わる。


「先輩ね……まあ、本当に勉強を教えてもらうわけじゃないし、名前を借りるくらい良いんじゃないかな」


「うん、絶対大丈夫だよ。じゃあ、向井さんにも言っといてね」


「え!?いや、だから名前を借りるだけって……」


ごにょごにょと、小さな声で何を言ってるんだろう。


それでも、完全に気持ちが二回目に傾く前に、対策を練れて良かったよ。