授業が始まっても、考えるのはおまじないの事ばかり。


朝、起きた時はまだ、こんなに考えていなかったのに、時間が経つにつれ考える時間が増えている。


彩乃もこんな気持ちだったのかな?


今はまだ、ダメだと強く思えば踏みとどまる事が出来そうだけど、これ以上おまじないが簡単だと思い込んでしまったら、二回目をやってしまうかもしれない。


二回目はダメだと分かっているのに、大丈夫だという根拠のない自信が湧いてくるから。


それを知らない彩乃は、簡単にこの誘惑に負けてしまったんだろうな。


幽霊と話をしながら生徒玄関に行くだけで願いが叶う。


思えば、どんな努力をするよりも簡単に結果が出てしまうんだから。


先生の話も上の空で、ノートだけは何とか取っているものの、授業内容は全く頭に入っていない。


一度願いを叶えた人が、必ず二回目のおまじないをするのなら、この誘惑に打ち勝った人はいないという事。


妙にそわそわして、早く授業が終わらないかなと、時間だけを気にしてしまう。


こんな感覚に陥っている自分が嫌で、何度も授業に集中しようとしたけど……どうしてもおまじないの事を考えてしまって。


ついにはノートの端にまで、夜の学校で得た情報を書き出してしまっていた。