「だ、大丈夫。ただ、失敗しないようにする為には、あの幽霊をどうすれば良いか考えてただけだよ……」


見てもいない、どんな幽霊かも分からないけど、出会わなければ良いんだから、隠れるという方法もあるよね。


「考えるだけにしなきゃダメだよ!次は、行こうとしても絶対に止めるからね!」


バンッと机を叩いて、真剣な眼差しを向ける。


そんなに怒らなくても……だって、本当に何とかなりそうなんだもん。






「なになに?何の話?潤と森川って、付き合ってんの?昨日も一緒にいたよな?」


「マジか!!お前、森川なんて好きじゃねぇって言ってただろ!」





南部君が大きな声を出すから……クラスメイトの男子が変に騒ぎ始めたじゃない。


「うるせぇな!!お前らには関係ないだろ!!雅史!やるかコラ!!」


女子には優しい南部君も、さすがに冷やかされると怒るんだな。


付き合ってるって言われて否定するのも忘れてるし。


きっと、私に向けたかった怒りを、そのまま男子に向けたんだろうな。


だから否定を忘れて怒ったんだ。


分からないけどきっとそう。


椅子から立ち上がり、男子と殴り合いの喧嘩を始めた南部君。


私はそれを、ぼんやりと考え事をしながら眺めていた。