「へぇ、そんなに幽霊がいたんだ。質問されなきゃ良いってわけでもなさそうだね」


「うん。それに、なんかヤバそうなやつもいてね。幽霊が恐がる幽霊なんだけど……あれに見付かっても、ダメなんだろうね」


自分の席に着き、昨日あった事を話すと、南部君はそれをルーズリーフに書き記していた。


向井さんにも報告をするつもりなのだろう。


「そっか。でも、二回目はやらないんだから、どんな幽霊がいても関係ないよね」


「そうだよね……だけど、上手くやればなんとかなりそうな気もするんだよね。あんなに大きな声だったんだから……」


カリカリと、シャープペンシルを走らせる南部君の手がピタリと止まった。


ぼんやりとそれを眺めていた私は、どうして手を止めたのかも分かっていない。


「……森川さん、可能性の話だよね?まさか二回目をやろうなんて考えてないよね?」


「えっ!?や、やるはずないよ!……だけど、本当に何とかなりそうな気がするんだよね」


「分かってる!?二回目は……必ず失敗するんだよ!?皆簡単だからって、二回目をやって失敗してるんだよ!?」


いつもは見せない鬼気迫る表情で、私の目を見詰める。


そんなの分かってる。


二回目をする事は……多分ないと思うよ。