幽霊達が恐れるあの声の主は一体何なのだろう。


他の幽霊達とは違う印象を受けたけど……。


あの声の主にだけは気を付けなきゃならない。


背後を付いてくる幽霊はどうにかなるとしても、追い掛けて来られるとどうしようもないよね。


まあ、出てこないって可能性もあるかな?


「……森川さん?おーい!」


「えっ!?」


顔の前に、南部君の手がひらひらと上下して、私は我に返った。


ぼんやりと考え事をしていて、話を全く聞いていなかった。


「な、何?どうしたの?」


「いや、どうしたのって……教室に入らないの?」


気付けば教室の後ろのドアを通り過ぎていて、南部君が呼びに来てくれたんだ。


ダメだな。


もうやらないって決めたのに、なぜだか二回目の事ばかり考えてる。


願いが叶ったのかどうかもまだはっきりしていないのに。


「ご、ごめん。考え事をしててさ」


「考え事って……山中さんの事?まだ病院にいるんだよね。学校が終わったらお見舞いに行ってみる?」


「うん、そうだね」


私がそう言うと、小さく「よしっ!」と言っていたけど、南部君も心配してくれてるんだろうな。


皆の事を心配してくれる南部君はとても良い人だと、改めて感じる事が出来た。