「行ってきまーす」
準備を済ませた私は、いつも通りの時間に家を出た。
浴室で、夢で見た出来事が起こったりしないかな……なんて不安だったけど、夢は夢で。
おかしな事なんて何一つ起こらず、平和な入浴だった。
携帯電話を確認すると、南部君が心配してくれていたみたいで、昨日眠ってから30件もメールが。
これに気付かないなんて……よほど疲れていたんだなと、しみじみ思う。
「森川さん、大丈夫?」
「返事がないって事は寝てるのかな?」
「森川さん、また明日学校で教えてね」
「寝てる?」
なんてメールばかり。
普段ならウザい!とか思うんだろうけど、まだ少し疲れが取れない心には、素直に嬉しいと感じる。
心配してくれている人がいるのは良いな。
南部君でこれだったら、向井さんにアドレスを教えていたら大変な事になってたかもしれない。
100件くらいメールが届きそうだよ。
フフッと笑いながら、その中の一つに返信。
「おはよう。心配してくれてありがとう。……っと」
学校に着いたら話なんて出来るから、これで良いか。
問題は、彩乃が本当に元に戻ったのかという事だよね。
それも含めて、今日は南部君と話す事は多くなりそうだ。