……目を開けた時にはもう、部屋の中は明るくなっていて、朝が訪れたのだという事が分かる。


あれは夢だったのか現実だったのか……なんて、考えるまでもない。


制服を着たままベッドの上に横になってるって事は、間違いなく夢だという事。


お風呂に入ったのも、幽霊が部屋に入ってきたのも全部夢。


「良かった……あ、シャワー浴びなきゃ」


寒かったからか、汗もかいてないようだし……と、いうより身体が冷えてる。


制服はシワになってるけど、アイロンで伸ばせるだろう。


「それにしても……あんな夢、見たくなかったなあ」


部屋を出て、一階に向かいながら大あくび。


朝を迎えた今でも、おまじないを終わらせた実感が湧かない。


あの夢は、おまじないが影響してるのは間違いないし、それだけ怖かったという事だ。


でも今は……あれも夢の中でやったみたいに思えて、怖いとは感じない。


いや、それどころか、あんなに簡単に終わらせられるならと、次に叶える願いを考えてさえいる。


ダメだよ、あれは彩乃を助ける為に、一回だけって決めてたんだから。


何があっても二回目はしない。


自分にそう言い聞かせて、私は脱衣所に入った。


身体を洗って、さっぱりして学校に行く為に。