「あははっ!!いたいた!掴まえた!!」
勢い良く飛び付き、廊下に仰向けになって倒れた私の上に馬乗りになる女子生徒。
力が強くて……押し退ける事が出来ない。
いや、そもそもこれは、女子生徒なの?
暗くて顔が良く分からないけど……顔の特徴がないように思える。
「綺麗になりたい?綺麗になりたいんだね?私もなりたい!!でもダメだよ。願いは叶わなかったんだから」
私に顔を近付けて、クスクスと笑う女子生徒。
「ひ、ひいっ!!」
近くで見て、やっと分かった。
顔の特徴がない……そう思ったのは、まるで粘土で作られた出来の悪い人の顔のような表情だったから。
夢だからか、押さえ付けられているからか、身動きひとつ取れなくて。
倒れ込むようにして、女子生徒が私と重なったと思った次の瞬間。
私は目を覚ました。
ハァハァと呼吸も荒く、今、自分が体験したような気さえする。
寒いはずなのに髪がしっとりと濡れる程の汗をかいて、制服もびっしょり。
あの女子生徒は……幽霊達が怖がっていた、二階にいた幽霊?
こ、怖かった……。
無表情なのもそうだけど、あの迫力が凄かったから。