南部君と向井さんに家まで送ってもらって、私は自分の部屋に戻るとすぐにベッドに横になった。


制服のままなのに、目を閉じるとすぐに眠ってしまいそうで。


何度も何度も、フッと落ちるような感覚に襲われて……私は眠りに就いた。










あまりにおかしな事を行ったからか、夢にまで見てしまっている。


学校の音楽室の前にいた、あの女子生徒の幽霊。


おまじないのスタート地点を指差して、ただ立っているだけ。


これだけの為に、この幽霊は存在しているのかな?


「ねぇ、どうしてそこにいるの?何してるの?」


夢の中の私は怖がりもせずに、その幽霊に話し掛けている。


だけど、幽霊は黙ったままで……背を向けて、一言も話そうとはしない。


「まあ良いけど。ここがスタートなんだよね?えっと、誰よりも綺麗になりますように」


別にそんな事、考えてもいないのに。


やっぱり夢だな。


願い事を呟いて、生徒玄関に向かって歩き始めた私は、廊下の向こうに奇妙な人影を見た。


階段の付近に、女子生徒と思われる人影。


音楽室の前の幽霊じゃない。


背が高くて……スカートを穿いている。


と、そこまで考えた時、急にその女子生徒がこちらに向かって走り出したのだ。