そして、その時はやって来た。
晩御飯を食べて、忘れ物を取りに行くと言って制服で家を出た私は、19時丁度に学校の正門をくぐった。
生徒玄関はもう暗くなっているけど、職員玄関はまだ明るくて、誰か先生がいる事が分かる。
「えっと、19時19分に音楽室の前から、生徒玄関まで行けば良いんだよね。その間、ずっと幽霊に話し掛けると……」
私自身、良く知らない事をしようとしてるんだなと思うと、今さらだけど怖くなってきた。
「……絶対に走っちゃダメだし、幽霊を見ようとしてはいけない」
突然後ろの方から聞こえた声に私は驚いて、慌てて振り返った。
正門の裏側、屈んで身を隠していたのは……向井さん。
「ほら、やっぱり来るって言ったじゃないすか。森川さん、質問されないように話し続けるんだよ」
と、南部君。
どうして二人が……なんて、私だけが思っているんだろうな。
二人にしてみれば、当然私は来るものと思っていたんだ。
「やれやれ、困った子猫ちゃんだな菜々は。今ならまだ間に合うから、俺とデートに行かないかい?」
前髪を掻き上げた手を、私に伸ばして、フフッと笑い掛ける向井さん。
「いえ、私は行きます。彩乃を助けたいです!」
晩御飯を食べて、忘れ物を取りに行くと言って制服で家を出た私は、19時丁度に学校の正門をくぐった。
生徒玄関はもう暗くなっているけど、職員玄関はまだ明るくて、誰か先生がいる事が分かる。
「えっと、19時19分に音楽室の前から、生徒玄関まで行けば良いんだよね。その間、ずっと幽霊に話し掛けると……」
私自身、良く知らない事をしようとしてるんだなと思うと、今さらだけど怖くなってきた。
「……絶対に走っちゃダメだし、幽霊を見ようとしてはいけない」
突然後ろの方から聞こえた声に私は驚いて、慌てて振り返った。
正門の裏側、屈んで身を隠していたのは……向井さん。
「ほら、やっぱり来るって言ったじゃないすか。森川さん、質問されないように話し続けるんだよ」
と、南部君。
どうして二人が……なんて、私だけが思っているんだろうな。
二人にしてみれば、当然私は来るものと思っていたんだ。
「やれやれ、困った子猫ちゃんだな菜々は。今ならまだ間に合うから、俺とデートに行かないかい?」
前髪を掻き上げた手を、私に伸ばして、フフッと笑い掛ける向井さん。
「いえ、私は行きます。彩乃を助けたいです!」