私の言葉に、少し動揺した様子で。


視線をフラフラと泳がせて、どんな表情でいれば良いか分からないみたいだ。


「助けるったって……どうすれば良いんだ。こいつはこんな状態だし、何も教えてくれない」


向井さんも今まで散々悩んだに違いない。


その証拠に、この小屋に入ってから、一度も私に良い所を見せようとしていないのだから。









「幽霊は……にいる」








向井さんに返事をしようとした時、弘志さんが少し強く呟いた。


その言葉に、慌てて弘志さんの顔を見る私。


確かに今、「幽霊」って言った。


「また幽霊が見えるのか?こんな所にいるはずないだろ?」


向井さんは驚かない。


そう言えば、ここに入ってすぐに、「幽霊」って口に出していたよね。


「幽霊って……おまじないの幽霊の事ですか?教えてください」


この話は、彩乃を助ける事とは関係がないかもしれない。


それでも、弘志さんが少しでも話をしてくれる可能性があるならと思って尋ねたけど……何も変わる事はなかった。





「……は……にいる」



「……は……にいる」






何度尋ねても、同じ事しか言わない弘志さん。


「もう出よう」


向井さんが呟いた時だった。