授業中だったという向井先輩。


向井渉(ムカイワタル)という名前で、丁寧に自己紹介をしてくれた。


そんな向井さんが、私の写真を見て、運命だと思ったらしく、急いでここまで来たとの事だけど。


「菜々、俺達がどうしてこうして一緒にいるか、この謎が解けるかい?」


さっきからおかしな事ばかり言ってる。


「俺が呼んだからでしょ。来たのなら、早くあの事を教えてくださいよ」


「そう!それは運命っ!俺と菜々が出会う事は、運命だったんだよ!」


こんな調子で、南部君の話も聞いていない。


「あ、あの……うちの学校のおまじないについて教えて欲しいんですけど。願いが叶うってやつ」


「菜々の願いなら俺が何でも叶えてあげよう!さあ、何でも言ってごらん!」


ダメだ、全然聞いてない。


だから南部君は不機嫌そうだったのかな。


これなら、メールだけで話を進めた方が良いようにも思える。


「だったら、私達の話を聞いてください!変な事ばかり言ってないで!」


向井さんはイケメンだし、何もない状態でなら面白いとも思えるかもしれないけど、今は冗談を言っている場合じゃない。


一刻も早く失敗した人達に会いたいのに。


本当にこの人で大丈夫なのかなと、不安になった。