「その呪いは、いつから願いが叶うって話になったと思います?」


「さっきも言ったよね?学校は、想いが生まれる場所だって。人の想いで作られた呪いは、人の想いで願いが叶うなんて都合の良いモノに変わったんだ。下地は呪いのままでね」


いつの間にか噂が良いように伝わってしまったって事か。


「そんな強い想いが、幽霊を引き寄せたんですかね?いっぱいいるって、私に取り憑いた幽霊が言ってました」


この話は、向井さんの想像にすぎない。


でも、その真相を知る術がない私達にとっては、一つの真実として受け止めても良いかと思う。


「もちろん、本当に幸村さんの呪いかもしれないけどね。学校が好きだという強い想いが、それを奪った木村さんに向けられたってね」


可能性は無限にある。


幸村さんが死んだ後の話なんて、情報がないに等しいから。


向井さんのこの話も、無限の可能性の中の一つでしかないのだ。


「おっと……話をしている間に、もう国道が見えて来た。どうだ?大丈夫だろう?」


私の背中をポンッと叩き、100メートル以上向こうにある国道を指差してみせた。


「大丈夫……だと思います」


南部君が助けてくれたと信じたい。


だけど、国道に近付いてみないと分からない。