「菜々のお父さんが先生の話を盗み聞きしたように、馬場も話を聞いたんだ。そして、幸村さんの死の真相を知った」


なるほど、あり得ない話じゃない。


お父さんが知っている事なら、誰が知っていてもおかしくはないよね。


「学校なんていう、人が集まる場所は、色んな想いが生まれるだろ?生き霊なんて言葉もあるくらいだから、生きてる人間の想いはバカに出来ない。その想いが後に幸村さんの幽霊を形作ったとする。誰よりも学校が好きだった幸村さんのね」


向井さんが言ってる事は、あの夢と、お父さんの話を聞いてなかったら、理解なんて出来なかっただろうな。


「馬場は、幸村さんを失った悲しみのあまり、木村さんを襲った。お前が幸村さんを殺したんだ!とか言ってね」


……これ、本当に向井さんの想像の話だよね?


その時の状況を、やけにはっきりと想像出来る。


「馬場の、幸村さんに対する強い想いと、木村さんに対する強い憎しみが、自殺した後に残って、後で噂された『人を殺す呪い』を形作ったんだよ」


不思議なくらい、そうかもしれないと思えるような話になってしまった。


本当の話はどうなのか分からないけど、向井さんの話も真実のような気がしてきた。


後は、いつから呪いじゃなくなったか。